【矢掛で未来をつなぐ人】

父が残した古民家から始まった、地域への恩返し。株式会社yuimoと矢掛journal

岡山県小田郡矢掛町。
歴史ある町並みと豊かな自然が残るこの町で、システム開発会社を運営しながら、アウトドアブランド「CANTRYHAUSU」の展開や地域情報の発信に取り組んでいる株式会社yuimo。
今回は、矢掛journalの運営者でもある岡本氏に、矢掛との関わりや、この地域への想いについてお話を伺いました。

父が残してくれた古民家

――まず、矢掛との関わりについて教えてください。

岡本氏:

私は現在、倉敷市内に住んでいますが、実家は真備町にあります。
父も長年真備町で暮らしており、若い頃には矢掛の高校へ通っていました。そのため、我が家にとって矢掛は昔から身近な存在だったんです。
数年前、父は矢掛町にある築100年以上の古民家を購入しました。
里山に囲まれた静かな場所で、昔ながらの雰囲気が色濃く残る建物でした。
父はこの場所をとても気に入っていて、家族や親族が集まり、ゆっくりと過ごせる場所にしたいと考えていました。
私たち家族も一緒になって改装を進め、少しずつ手を加えながら活用してきました。
古民家から見える四季折々の景色や、時間がゆっくり流れるような空気感は、今でも特別なものです。
しかし父が他界してからは利用する機会が減ってしまいました。
それでも、この建物を空き家にしてしまうのは違うと思ったんです。
父が大切にしていた場所であり、地域の風景の一部でもある。

そう考え、現在は株式会社yuimoの所在地として活用しています。

人が出入りし続けることで建物の維持にもつながりますし、防犯面でも良い効果があります。
何より、この場所に新しい人とのつながりが生まれることが嬉しいですね。

システム会社がアウトドアブランドを始めた理由

――システム開発会社でありながら、アウトドアブランドも運営されていますね。

岡本氏:

よく驚かれます(笑)。
でも実は自然な流れだったんです。
私自身も会社のメンバーもアウトドアが好きで、この古民家の裏には里山があります。
薪づくりをしたり、山の手入れをしたり、仲間とキャンプをしたり。
そんな環境で過ごしていると、「こういう道具があったらいいのに」という話がよく出るんです。


の中で最初に出てきたのが鉈でした。
里山の整備や薪づくりに使う道具だからこそ、自分たちが本当に欲しいと思えるものを作りたい。
それなら自分たちで企画してみよう。

 

そうして生まれたのがアウトドアブランド「CANTRYHAUSU」です。

代表商品の鉈はクラウドファンディングを通じて多くの方に応援していただき、現在も里山で実際に使いながら改良を続けています。

 

矢掛にはもっと知られるべき魅力がある

――矢掛町についてはどのように感じていますか?

岡本氏:

矢掛町は本当に魅力の多い地域だと思います。
歴史ある町並みがあり、自然も豊かで、人との距離も近い。
一方で、全国の地方と同じように人口減少や高齢化が進んでいます。
若い世代が進学や就職を機に地域を離れてしまうことも少なくありません。
ですが、矢掛には魅力的な企業やお店、そして頑張っている人がたくさんいます。
実際に地域で活動していると、
「こんな会社があったんだ」
「こんなお店があるんだ」
と驚くことも多いんです。
地域に住んでいる人でさえ知らない魅力がたくさんあるのだから、町の外の人にはもっと伝わっていないと思います。

今だからこそ発信したい

近年、矢掛町にはモンベルの大型店舗がオープンし、多くの観光客やアウトドア愛好家が訪れるようになりました。
矢掛を知るきっかけが増えている今は、この町の魅力を発信する絶好のタイミングだと感じています。
観光だけではなく、地域で働く人や企業、お店、そして何気ない日常の風景も含めて伝えていきたい。
そうした想いから立ち上げたのが「矢掛journal」です。

矢掛journalに込めた想い

矢掛journalでは、観光情報だけでなく、地域企業や店舗への取材、経営者や店主へのインタビューなども積極的に行っていきたいと考えています。

ホームページを持っていない企業や店舗であっても、その魅力や想いを残せる場所にしたい。
この地域には、まだまだ知られていない素晴らしい人や仕事があります。
そうした物語を一つひとつ記録し、未来へ残していくことも地域メディアの役割だと思っています。
「矢掛で働きたい」
「矢掛に住んでみたい」
「また来てみたい」
そんな人が一人でも増えてくれたら嬉しいですね。

編集後記

今回お話を伺いながら感じたのは、すべての活動の原点が「父が残してくれた古民家」にあるということでした。
大切な場所を守りたい。
その想いが古民家の活用につながり、里山での活動につながり、CANTRYHAUSUの誕生につながった。
そして今、矢掛の魅力を発信する矢掛journalへとつながっています。
地域を元気にする取り組みは、決して大きな事業から始まるわけではありません。
一つの建物を残したいという想いから始まることもあるのだと感じた取材でした。
これから矢掛journalでは、地域で活躍する企業や店舗、人々の物語をお届けしていきます。